2019年3月〜4月に日本に滞在して、いろいろな収穫がありました。そのことについて、何回かに分けて言葉にしてみたいと思います。
【アウトサイダーウィットネス&リフレクティング・チーム】
ナラティヴ実践協働研究センター(NPACC)で提供するナラティヴ・カウンセリングの実践を、アウトサイダーウィットネス&リフレクティング・チームと共に提供することを検討しています。
その可能性を検証するために、ナラティヴ・セラピーの二泊三日の合宿(ナラティヴ・フイ)、そしてNPACC発足説明会で、アウトサイダーウィットネス&リフレクティング・チームを交えたカウンセリングを試してみました。
その結果、一回のセッションにもかかわらず、1対1のカウンセリングセッションで到達するためには複数回のセッションが必要だと思うところまで到達できました。今後とも、もっと事例を通じて検証していきたいのですが、現時点で、大いに可能性を感じています。
リフレクティング・チームとは、北欧の精神科医トム・アンデルセンたちのグループによって提案されました。その後、マイケル・ホワイトは、その形式を踏襲しつつも、アウトサイダーウィットネスとして発展させました。
NPACCでは、この2つに敬意を表する意味で、アウトサイダーウィットネス&リフレクティング・チーム(OW&Rチーム)と呼ぶことにしています。また、OW&Rチームを「オウルチーム」と発音しています。
リフレクティング・チームでは、チームメンバーが何を発語するのかということは、基本的なマナーを踏まえる必要がありますが、チーム内で何を語るのかについては比較的大きな幅があります。
一方で、マイケル・ホワイトのアウトサイダーウィットネスでは、チーム内の語りを非常に個人的なものに限定しています。つまり、クライエントが語る物語を聞いて、個人的にどのように共鳴したのかをシェアするのです。
個人的なストーリーに対して、チームメンバーの個人的なストーリーが重なることで、大きな共振が起こるようなのです。
どのようにしてそのようなことが起こるのかを理解していくためには、もっと事例が必要なのですが、大変安全なフレームワークですので、事例を積み上げることができそうです。
この方法は、セッションの冒頭で、目標を設定し、そこに向かっていくプロセスに取り組むというようなアプローチに慣れ親しんでいる人には、なかなか難しいかもしれません。プロセスをコントロールしようとするような姿勢で活用することができない手法なのです。その可能性に身を委ねることができるかどうか、それが最初に求められるような気がしているところです。
少し話題がそれますが、少し懸念を持つような話を聞きました。リフレクティング・チームの構造で、スーパービジョンを提供しようとしているグループあると聞きました。そこで、リフレクティング・チームがそれを名乗るための必要不可欠な最低限の作法・マナーを守っていないということがあるということでした。そもそも、最も大切な作法・マナーがあることすら知らないのかもしれません。ちゃんと文献を読んでからしてほしいな。トム・アンデルセンを泣かせないように。