デイヴィッド・パレ著「コラボレイティヴ・セラピーの実践」に対するジョン・ウィンズレイドの紹介文

いよいよナラティヴ実践協働研究センターのオンライン講座「カウンセリングトレーニングコース」が6月2日(火)から始まります。
https://npacc.jp/service/training/octc/

今、プレゼンテーション資料の準備を進めています。本コースでは、カナダ人で、オタワ大学教授のデイヴィッド・パレが書いた書籍をテキストとして用います。

このテキストは、目下翻訳作業を進めており、来年中の出版を目指しています。この下訳が手元にありますので、コース自体は始めることができます。

このテキストを読んでいて、実に大切なことが書いてあると思えると同時に、ポスト構造主義や社会構成主義的な発想がしっかりと根付いたところから書いてあると至るところで感じます。

このことのありがたみを感じるのは、そのような思想的立場を、単なるアイディアとして借用しただけのテキストを読む機会があるからです。付け焼き刃として感じてしまうのです。

ナラティヴ・セラピーで有名なジョン・ウィンズレイドは、本書を次のように推薦しています。

ついに!  待ちに待った教科書ができました。
カウンセリングの教科書を書くときに、既存のテキストの蒸し返しのようにならないように、新しいものを書くのは難しいことです。デイヴィッド・パレは、それを成し遂げました。
多くの教科書は、新しい学習者にカウンセリングの実践を教えるために、1970年代以前に作られた基本的な考え方を頼りにしています。そして、その基礎の上に最近の発展を接ぎ木することで、カウンセリングの実践を教えています。デイヴィッド・パレは、この罠にはまりません。彼は、世界が変わっていないことも、注目に値する革新的な考えが絶えず作り出されていないこととは思いません。また、一世代か二世代前のカウンセリングの基礎も無用のものとして退けることもしません。そうではなく彼は、そのようなものに、ここ数十年の最も創造的な実践から引き出された新しい視点を織り込みながら、実践の基礎を学ぶ人に関係づけるのです。具体的にいえば、意味への転換から導かれる考えは、確立されたカウンセリングの伝統の横に置かれることになるです。
驚くべきことに、デイヴィッド・パレは、洗練された哲学的な思考を用いながらも、難解な専門用語を避けます。非常に直接的で、実用的な、理解しやすい方法で読者に語りかけます。本書は、カウンセラーになるために必要となる学習の複雑なプロセスを、理解を急がせることも、厄介な問題を軽く扱うこともなく、学ぶ者を導いてくれます。そして、振り返り、詩的な比喩と共にうろうろし、微妙なニュアンスを議論し、すでに蓄積された知恵と新しいアイデアを創造的な実践に取り入れたりするための誘いがたくさん盛り込まれています。
また、授業で利用できる実際的なエクササイズも多数掲載されています。本書は、熱心で思いやりのある実践者が、熟練し意図的な実践ができるように助けとなるものでしょう。クラスで共有するのが待ち遠しいです。

ジョン・ウィンズレイド

オンライン講座カウンセリングトレーニングコースで、このようなテキストをベースに、共にカウンセリングについて取り組む機会が持てることを楽しみにしているところです。