ナラティヴ・セラピーWSに参加して(その2)

前回の投稿からすっかり時間がたってしまいました!
NZで受け取ったことの中の1つは、力と知識、そして支配の関係性。フーコーの言わんとしていることが少しわかると、ナラティヴ・セラピーに流れている空気(のようなもの)がわかるのかなという感覚がして、スタートするなら、ここから…と、今の自分の理解を言葉にしていきます。

私の今現在の理解は…
・力=知識ではないし、知識=力ではない。
力があれば知識があるということではないし、知識があれば力があるということでもない。
・力と支配は同じものと考えられたり、混同されたりしがちだが、
力、知識、支配は区別できるし、その違いや関係性を知っていることが大事。
・一般的に考えられている「力」は、一極集中の力(権力)であったり、常に上から下へ働くものであったり…と考えられることが多いが、
実際には、「力」とは、
・暴力を伴うものもあればそうでないものもあり、
・所有されるものではなく、行使されるもの。姿勢や態度、戦略的に使われる機能。
・必ずしも抑圧的なものばかりではなく、生産的な力もある。
※ここでいう「生産性」(英語はproductive)は、いわゆる効率的とか生産性が高いというニュアンスではなく、「創り上げる力、物事を生み出す力」という意味合い。

※力関係があるというと、それも「=支配」と捉えがちだが、力関係があるということと、支配の行使は区別している。

私の理解を手描きにしてみるとこんな感じ。

【図を挿入!】

◯ 力関係と支配の区別

力=支配のような感じで捉えられることもあるが、力と支配は区別することが大事。
力関係があること=支配ではない。
ここでいう「力関係」というのは、力を使った側に対して、相対する人が「あらゆる応答、反応、結果、新たに創り出す…このようなことを始められる」関係があること。そのためには、相対する人が認められ、行動できることのできるお互いの関係性が前提になる。
それに対して、「支配の行使」は、一方的に力を使い、相対する人が行動するオプションを消してしまう=相手が抵抗する可能性を否定する、暴力的な関係。つまり、力関係を封じ込めてしまう。違う表現をすると、支配や抑圧は、人を関係性から引き離してしまう。

その支配の行使の際には、
フーコーが言う「真実のゲーム」とよぶ「秩序にみえるもの」が支配の中心にはある。しかし、実は中心にあるのは、秩序や、「正しさ」ではなく、ディスコース。
ディスコースは、すごくうまく働いているが、実際には人々が服従することを繰り返す規範に過ぎない。だから、ディスコースの元になっている前提を探すと、関係性がみえてくる。(ここは、後日書けたら良いなと思っています。)

 ◯描きながら感じたこと

私は、「レジスタンス」という言葉そのものに、あまり良い感情をもっていませんでした。それは、「ルールに従わなければならない」「みなとうまくやっていかなければならない」そこに相対すること、という感覚があったのです。
ですが、今回、「力が生まれると同時に、抵抗が生まれる可能性もある」というフーコーの言葉や、ドナルドの「アンフェア」と感じたことをどうにかしたいと思う、その思いがモチベーションになっていると聞いて(このことも、後日書きたいと思っています)、

それが、レスリングやダンスの例に繋がるのかな、どちらかが何かのアクションを起こすと、どちらかがそれを受けたり反応したりする。その反応そのものが、相手へのアクションとなり、もともとのアクションを起こした人へ力(=影響)を及ぼすことになる。その、両方のやりとりが可能な関係があっての、関係性で、誰もが力を行使する側にもなり、力を受ける側にもなる。
そこで浮かんだのが、会議の場で何も言わない人の存在(私も含む)、あるいは、自身がそれは嫌だなと思っても何も表現せずに内側で抱え込みやり過ごす場面でした。
そして、ジェニーの「あなたが発言するスペースはないのですか」と問いかけるという言葉も改めて思い起こしました。

それに続いて出てきたのは、今書いたことと重なる部分がありますが、アンフェアと感じながらも(といいつつ、その時は「アンフェア」という言葉を使うこともなかったです。きっとそういう言葉を使うことに対して躊躇する=避ける感覚があったのだと思います)何もできなかった時のこと。また、違和感らしきものを捉えながらも忙しさと共に「ちょっと違う気がするけれどな~」と思いながら、やりすごしたことの数々。そして、「どうしてこうなるの?」という(今なら「アンフェア」という言葉が使えそう)ことに対して、そこで異議を唱えてはいけないと、どこかで自分勝手にかもしれないですが、で思っていたということ。。。

これまでに観えていなかったプロセスが少しずつ紐解かれてきて、とても興味深いです。わからないことだらけですが、その中のほんの少しわかることが、こんなにも外の世界と自身の内側への観察の視点を変えるものなんだなぁと実のところ、混乱しながらもワクワクしています。

・「力」は、ディスコースを通して知識を生産していく。
・力のメカニズムがどのように機能するかを知ることが大事。・・・大事な気がするけれど、ここは、まだ言葉にならないないので、持ち越しです。
知識についても、次回以降へとして、今回は一区切りです。