すべての学校関係者のための海外教育研修(ニュージーランド)
「教育における主体性と対話性、そして支援を考える」
※本ワークショップは、これまで「異国で考える学校における子どもの支え方」として開催していたものです。
ワークショップのパンフレット(PDF版)のダウンロードはこちらから
- 「主体的・対話的で深い学び」は提供されうるのか?
- 「アクティヴ・ラーニング」を実現するために必要なものとは?
- 子どもを支援するとはどういうことか?
- 修復的対話の実際はどのようなものか?
- NZの常識から見えてくる日本の学校の姿とは?
2019年8月
8月5日(月)〜9日(金)の5日間のワークショップ
ニュージーランド北島・ハミルトン市
実際の授業日に学校を見学
子どもたちに歓迎されてマオリ文化に触れる
英語専門家による通訳付き
ナラティヴ・セラピストのファシリテーションで対話を通じての深い学びを自ら実感する
対象
学校管理職・行政職 教員・養護教諭 スクールカウンセラー スクールソーシャルワーカー 大学教員・研究者
プログラム(予定)
- 8月4日(日)
PM チェックイン&オリエンテーション(日本語) - 8月5日(月)
AM イントロダクション & ランチ
PM 講義(ニュージーランドでの学校の取り組み) - 8月6日(火)
AM ハミルトンイースト小学校学校見学
ワイカト大学見学&ランチ
PM 「振り返り(リフレクション)」(日本語) - 8月7日(水)
(学校訪問と講義を予定。詳細は調整中) - 8月8日(木)
AM 講義「学校カウンセラーが考える子どもの支え方」
PM 「振り返り(リフレクション)」(日本語) - 8月9日(金)
AM 「NZメガネをかけて見る日本の学校」
(ディスカッション)
PM 「今後に向けて」」 - 8月10日(土)(オプショナルツアー) ロトルアなど
- 8月11日(日) ニュージーランド発
【問い合わせ(国重浩一、バーナード紫)】
narrative@dcnz.net
【申し込み先】
https://goo.gl/T5qP9L
ワークショップの基本情報
場所: ニュージーランド北島、ハミルトン市
日時: 2018年8月5日(月)夕方~9日(金)(5日間)
定員: 14名程度(最小催行人数8名)
費用: 2300ニュージーランドドル
ワークショップ参加費
なお、渡航費用、食費、宿泊費は含まれません。
対象:学校管理職・行政職 教員・養護教諭 スクールカウンセラー スクールソーシャルワーカー 大学教員・研究者など
主催: ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランド
協力: ナラティヴ実践協働研究センター
「私が勧めたいのは、異なった社会の異なった慣習の輸入ではなく、異なった社会の光に照らして、私たち自身の社会で生まれつつある慣習について考えるということです」 「レヴィ=ストロース講義」 2005年 136頁
本ワークショップについて
日本からほぼ真南に島国ニュージーランドがあります。その人口は460万人ほどです。国土は、日本の面積のおよそ7割。そのため日本に比べると人口密度がたいへん小さな国です。 ニュージーランドは、多文化・他民族国家ですが、先住民のマオリの復権を中心に据えて、教育に取り組んでいます。
英国系金融機関HSBCの調査では「住みやすい国」ランキングで総合2位に入りました。また、3年毎に行われるによるOECD生徒の学習到達度調査(PISA)では、初回の調査で、数学的リテラシー3位、読解力3位、科学的リテラシー6位でした。最も最近に行われた2015年の調査では、順位を落とし、数学的リテラシー21位、読解力11位、科学的リテラシー10位となっています。しかし、ニュージーランドでは、この調査による成績向上を目指した教育をしているわけではありません。
ニュージーランドの義務教育は5歳の誕生日から16歳前までの10年間となっています。学校の形態は小学校、中学校、高校の他に、小中一貫校、中高一貫校、小中高一貫校とさまざまです。基本的に小・中・高校入学のための入学試験はなく、生徒たちは学区で定められた最寄りの学校へ通うことができます。
ほとんどの学校が一学年4学期制を採用しており、1学期は1月下旬に始まり12月中旬に4学期が終了します。1学期は10週間で、学期と学期の間には約2週間のスクールホリデーがあります。学年の終わりには、クリスマスとニューイヤーを挟んだ約1ヶ月の長期休暇があります。
本ワークショップでは、実際に学校を訪問したり、学校で子どもの支援に就いている人たちに話を聞くことによって、ニュージーランドの教育を肌で感じてもらいます。そして、そのことについて対話をしながら、それぞれの理解を深めていきます。
参加しての感想
小学校教員からの声
「私は小学校の教員なのでイースト小学校の見学は本当に楽しいものでした。学びも多かったですし、ただ見るだけでなく、解説していただいたり、別室で校長先生からお話をたくさん聞けたことも勉強になりました。教室の掲示の様子や実際に個に応じた学習形態で活動しているところを実際に観ることができたこと、そして振り返りでも申し上げましたが、全く違った小学校生活を送る日本とニュージーランドの子どもたちが、思春期になり同じように苦悩することは本当に興味深く、両方の実態をもっと詳しく知りたいと思いました」
大学教員からの声
「そこで生活する人々の様子に直接触れることはとても意味があったと思います。個々の取り組みがどのような文化的背景のなかで成立しているのかということを、実体験を通じて少しでも感じ取ることができました」
大学教員からの声
「ちょっとした自己紹介はしたものの、参加者間でのコミュニティ作りセッションなどはほとんどされなかったにもかかわらず、気付くと何とも言えない平和な関係性がメンバーの間に築かれていたのも、個人的にはとても良かった点です。無理やりコミュニティに入れこまれる感じがなく、気付けばコミュニティ化していたのは、私を含めてメンバーの皆さんが、講師や現場の生の声に触れていく間に、出会った人々の平和な関係性に感化されていた(知らずに学んでいた)からではないかと思います」
カウンセラーからの声
「正式な歓迎の儀式を受けさせていただいことに深い感謝と感動を覚えました。高校生たちの振る舞いには誇りや喜びのようなものが感じられ、もっともっと歌やダンス(と称してよいのでしょうか)を観ていたいと感じました」
保護者支援者からの声
「記憶に残るのは、小学校での子どもたちが、外から来た人に対して笑顔で迎えてくれる接し方です。多様な人々からなる文化の背景の中にあっても、子どもたちがお互いの違いに違和感を持つのではなく、同じ人間として育ち合う姿には教育の方向性の良さを感じました」
コンセプト
今日本の学校現場では、さまざまな問題や課題を前に一種の手詰まり感が学校関係者や支援職に大きな影を投げかけています。そのことにどう取り組めばよいのか、どう解決すればよいのか見通しが立たず、途方に暮れる感覚が生じている、と言い換えることもできるでしょう。そして当然のことながら、それは学校に通う子どもたち、保護者、そして地域社会にも影響を及ぼしています。
これらの課題とは、不登校、いじめ、差別、発達障害、虐待やニグレクト、そして、悪化した関係性などにどう取り組むかなどです。不登校状態に陥った子どもを学校に戻すことをめぐっては、明確でかつ有効な方法論は見当たらないように見えます。いじめを見つけた場合にはどのように取り組めばいいのでしょうか。いじめを止めるというだけでなく、その後も続くクラス内の関係にどう対応すればよいのでしょうか。そして、発達障害(グレーゾーンを含む)の子どもにどの程度の適正な配慮ができるのでしょうか。また、訴えの多い保護者に対しては、どのように対応したらその気持ちが収まっていくのでしょうか。
これらを打開するためのさまざまな方法論が一応は提案されています。ところが、どの方法論が自分たちの直面する状況に対して真に有効であるのかについては不明瞭です。それでも、一応方法論が提示されている以上、問題に有効に対応できないのは、それに取り組まない学校関係者や支援職の責任と見なされてしまうという図式がつきまといます。
多くの場合、私たちは直面する問題や課題そのものについて、十分に考察する時間もなく、問題解決に向かってしまいます。もしかしたら、その問題や課題そのものが、日本という独特の文化の中だからこそ「そのように見える」かもしれないという点が問われることはありません。別の言い方をすれば、その問題や課題をそもそも作り出しているのは、日本という、それも日本の学校という特殊な文脈であるかもしれないということです。
そのようなことが本当にあるのでしょうか? 不登校、発達障害、いじめ、差別、関係性のこじれなどの問題は、当然他の国にも存在します。ただ、どのように「見えている」のか、大きな違いがあるのです。ニュージーランドでは、学校に来ないだけで「不登校児」にはなりませんし、親が子どもの養育について及第点をもらえるなら、親に原因があるとして社会的に責められることはありません。学校に来ないという現象にどのような意味を与え、どこに原因があるかを想定するのは、社会文化的なことなのです。クレームをつけてくる保護者はいますが、「モンスターペアレンツ」と呼ばれることはありません。
日本独自のことを自分の目で見えるようになるためには、身体的かつ精神的にその場を離れる必要があります。つまり日本という土俵を離れ、外側からからそこを見つめるという作業が必要となるのです。
本ワークショップでは、ニュージーランドの学校現場を自分の目で見て、その場の雰囲気を感じ取ってもらいます。自分の身をまったく異なる文化圏の学校に置くことによって、さまざまなことを感じることができます。そして、そこに働く教職・支援職の者から、ニュージーランドの学校における問題や課題、それに対する取り組み方法について語ってもらいましょう。
これは、どちらのやり方が優れているかという比較の問題ではありません。他文化で培われた方法論をそのまま日本に持ち込んでもうまくいきません。そうではなく、ニュージーランドにおける社会文化的な視点を通じて、日本の問題や課題を眺め、それらを別の角度から「見る」ことができるようになるためです。問題を眺める視点が多様化すれば、問題への取組方法の可能性が広がるでしょう。
何を見聞きし、どう理解したかは、一人ひとりが自分だけで作り上げるものではありません。同じ状況に身を置くもの同士がそれを共に語ることによって、より豊かな理解がもたらされます。そのため、本ワークショップでは、ファシリテーターのもとで、日本語でディスカッションをする時間もしっかりと組み込まれています。
参考図書
「いじめ・暴力に向き合う学校づくり」
ジョン・ウィンズレイド&マイケル ウィリアムズ(著)
綾城初穂(訳) 新曜社 2016年
通訳およびファシリテーター
【 通訳: バーナード紫】
東京都渋谷区生まれ。ロンドン大学教育研究所修士課程修了(英語教育)。ワイカト大学教育学部教育研究科ディプロマ修了(カウンセリング)。現在、ニュージーランド在住 翻訳家,コミュニティ通訳士。
【ファシリテーター: 国重浩一】
東京都墨田区生まれ。ワイカト大学カウンセリング大学院修了。鹿児島県スクールカウンセラー,東日本大震災時の宮城県緊急派遣カウンセラーなどを経て,現在、日本臨床心理士,ニュージーランド・カウンセリング協会員,ダイバーシティ・カウンセリング・ニュージーランド スーパーバイザー&カウンセラー。
宿泊手配について
ワークショップを行うハミルトン市は、オークランドから南に150Kmほどにある都市です。ワークショップ会場のYWCA Hamiltonは、ハミルトン市の中心街にあります。
今まではDCNZが宿泊料金を参加者に請求して、宿泊場所の手配をおこないましたが、いろいろと調査した結果、ホテル予約サイトからご自身で予約した方が安くなることが分かりました。そこで、ホテルの手配につきましては、ワークショップ会場に近いホテルの一覧を予約申し込みサイトに挙げますので、ご希望のホテルをホテル予約サイト(ブッキングドットコム、 ホテルズドットコム、 エクスペディア、じゃらんnetなど)からご自身で予約していただくようお願いいたします。
なお、何かホテルと調整しなければならないことが生じましたら、通訳などで対応しますので、ご安心ください。
また、ツインルームを希望される方は、申し込みフォームにその旨をご記入ください。他の参加者と調整を図り、こちらで予約いたします。その際には、現地で宿泊料金を支払っていただくことになります。ツインルームは、基本的には、シングルの料金と同一ですので、二人で泊まれば半額になります。
【問い合わせ(国重浩一、バーナード紫)】
narrative@dcnz.net
【申し込み先】
https://goo.gl/T5qP9L