NZに来てナラティヴ・セラピーを学んで半年、あと半年

ナラティヴ・セラピーを学ぶために日本を発ったのが4月1日なので、ニュージーランドに来てだいたい半年がたったことになります。来年の3月31日の便で帰る予定なので、折り返し地点です。
今回は、何かトピックがあってというより、折り返しに来たのでその振り返りを書きたいと思いました。
「もう半年経って、まだ半年もあるぜ」という感じです。半年たったこの時点で、当初期待していた以上のものを、もうだいぶたらふく学んだ感じがあります。とはいえ、やればやるほど学ぶことがまだまだあるという感じなので、「もう半年経って、まだ半年もあるぜ」という感じです。
そもそも、去年留学の計画を立てていた時は、カウンセリングのコースが2月始まりなのもあって、「授業には間に合わないね」なんて話をされていました。なので、こっちに来るまでは、月に何度かSVを受けるくらいの相当暇な年になりそうだくらいに考えていました。しかし、いざ来てみれば、着いてすぐに合宿プログラムに参加し、その後「クラスに全部出ていいよ」と誘ってもらえたので、1年生のコースも2年生のコースも、全部に出させてもらうことに。10月から2月まで、カウンセリングのコースは長い休みなので、実質、2年ないしそれ以上かけてやるコースを半年でやらせてもらったことになります。大変贅沢な忙しさでした。とはいえ、課題の類は(何も言われなかったのをいいことに)やらず、英語のハンデもだいぶあったので、その分をかなり差し引いて考えないといけませんけれど。その他にも、浩さんと紫さんとでやってきたNZでのワークショップ2つにもスタッフとして参加させてもらったり、なんやかんやで、けっこう忙しい半年でした。
※ナラティヴ・セラピーの学習について
分からない英語に耐えてクラスに出続けた甲斐もあったろうし、WSなどインテンシヴな学習もあったり、ありがたいことにナラティヴについてほとんど毎日のように話す環境もあったので、この半年で明らかにこれまでとは違う脳みそになったような感覚があります。とはいえ、面白いことに、今度は以前の脳みそがどんなだったか、変わってしまった脳みそでは思い出せないという難点があります。何が難点なのかといえば、比較ができないので、実際に何がどう変わったのか分からないということです。それに、何もかもがすっかり変わったのかといえば、根本の部分は大して変わっていない気もするし、そんな簡単に変わってたまるかという部分もあります。厄介な性格です。
ただ、これ以上忘れないうちに、その変化について少しだけ書き留めてみたいと思います。今振り返れば、半年前は、ナラティヴの考え方をするにあたって、なにかそれについてのスイッチがあって、それをずっと押し続けようと努めて押し続けていた感じがします。今振り返ればですけれど… もちろん半年前だって、もっと前と比べたらだいぶ自然にそのスイッチを押していられるようになっていただろうと思います。ただ、この半年のうちに、いつの間にかデフォルトの状態がオンになった感じがします。何ならそのスイッチの切り方すら分からなくなってしまいました。そして、スイッチがデフォルトでオンになったので、手を放して別のことが考えられるようになってきました。つまり、そこを出発点に、何かにようやく本格的に取り組み始められているようになってきたような感じがする、という感じです。ドリブルをしようと思わなくても、ドリブルができるようになって、ようやくスポーツが楽しくなってくるみたいな感じでしょうか。
これは、カウンセリングにおける言葉遣いのようなところでも感じます。以前は、結構頑張ってナラティヴの言葉遣いを使っていました。でも最近は、その部分は頑張らなくてもよくなって、別のことに意識が向くようになってきた気がします。「ドリブルしよう」と思わなくて済むようになったので、その分、「どこを攻めようか」とか、「誰にパスしようか」とか、そっちが考えられるようになってきたという感じかもしれません。そういう、スポーツのようなものと、感覚はよく似ている気がします。
とはいえ、全然ゴールについたような感じはなくて、むしろようやく頑張り始められるスタート地点についたような感じです。そしてきっと、今一生懸命意識しているところもまただんだん無意識にできるようになっていって、別のスタート地点に立つときも来るのだろうという予感があります。きっとそれが今後も繰り返されて行くんだろうと思います。ただ、ようやっと試合に出させてもらえて、どんどん練習したいし、試合にも出ていきたいという、そういうところまでは来た気がします。
※ナラティヴの実践を始めたこと
そんなわけで、NZにきて最初は怒涛の日々という感じでした。ナラティヴについての学びに溺れていたような感じです。そのおかげで、いろんなものがだいぶシフトしてきた気がします。そんな風にして、2,3回くらいぐるっと何かが変わったような感覚があった後、7月くらいから「そろそろ実践をしたい」という気分が出てきました。ナラティヴはやっぱり実践のものなので、「これ以上実践もしないで分かった風なことは言えんぞ」という気持ちとか、「これ以上は実践をしないことには先に行けないぞ」という感覚とかが出てきたという感じでした。それで、8月の中旬頃から無料カウンセリングを開始して、幸いなことにそれに申し込んでくれる方もいたので、実践に携わることができ始めています。大変ありがたいと思っています。
とはいえ、もちろんというか、始めてからはまた四苦八苦の連続で、たまに何かどこかに行けた気がすることもありますが、むしろ始める前より「なんか知った風なことは言えんぞ」という気分になってきています。前ほどアセンブリに書けなくなったのもそのせいだと思います。カウンセリングの最中は、目の前の人の話と、考えられる質問と、会話の展開とに集中していて、他のことなど考えている余裕はありませんし。実際にカウンセリングをしていると、自分で何をどこまでできたのかのジャッジなんてできないので、軽々になにかは言えなくなってきます。ただ、それでも、以前よりもずっと、その四苦八苦はいい意味のニュアンスを持っている気がします。
何かこの部分、日常であればいろいろ言葉にできたり、考えたりできるところもあるのですが、こういうところでは書けない部分が出てきます。
半年たったという区切りで本当はもっといろいろ書けるつもりでしたが、こういう文章は苦手なようです。何かを、自分の思考をちゃんと書いていくような、そういうものをまた書いていきたいと思います。