料理のメタファー

自己紹介:おぐらです。22年間,企業で技術者として働いてました。6年前から大学教員になり,理学部でキャリア支援をしてます。授業でキャリア教育をすることが多いのですが,学生や教員のカウンセリングも時々してます。ナラティヴ・セラピーを学びだして日が浅い状況ですが,今後,投稿させてもらおうと思います。
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ナラティヴ・セラピーとは何なのかについて具体的に定義することはできないと言う人がいます。確かにその通りでしょう。でも,そのままだと,どのようにとらえたらいいのかわからないと思います。そんな中,ニュージーランドでナラティヴ・セラピーのワークショップに参加して,自分なりのメタファーを思いつきました。それは料理のメタファーです。ここで「自分なりのメタファー」と言っているのは,他にも数多くのメタファーが存在するでしょうが,あくまでその中の一例に過ぎず,他のメタファーを否定するものではないという意味です。
「ナラティヴ・セラピーとは何か」を他者に伝えようとしたときの難しさは,「○○料理とは何か」を伝えようとする時の難しさに似ているように思います。
一度も食べたことのない料理の味を他者に説明することがとても難しい場合があります。お互いが食べたことがある別の料理がある場合はそれに似ているかどうかである程度伝わるでしょう。でも,似ている料理が全く無いこともあります。私自身,山形に住むようになり土日に蕎麦屋に行くようになりました。地元の方の会話を聞くと,時々「この蕎麦は口に含んだ時の風味が良い」と言ってました。最初,この「風味」というものが全くわかりませんでした。でも,風味というものを意識しながら数多くの蕎麦を食べていくうちにようやく「蕎麦の風味ってこういうことなのかな」ということがわかってきました。
そもそも「料理とは何か」ということを説明しようとする事自体,簡単ではなさそうです。料理を一通り説明しようとすると,どんな調理方法なのか,食材は何か,どこで食べるのか,作り手がどんな思いを持っているのか,何を目的とする料理なのか,どこの地域なのか,どんな文化的背景がある料理なのかなど,様々な側面があります。とても一言では説明しきれません。
「その料理はどんな味ですか?」と聞かれた時,簡単に説明できそうも無いときは「言葉だけでは伝えられない」とか「自分で体験して(食べて)みないとわからないよ」と言うでしょう。ナラティヴ・セラピーの場合はどうでしょうか。他のセラピーやカウンセリングスキルと比べて説明することもあるでしょうし,「言葉だけでは伝えられない」と言うこともあるでしょう。それでも料理のメタファーを使うともう少しナラティヴ・セラピーのことを表現できるようにも思います。そこで,しばらくはこのメタファーにこだわってみようと思います。

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