ナラティヴセラピーワークショップ6日目

こんばんは。大串綾です。
昨日で、ナラティヴセラピーワークショップ IN NZが無事終了しました。 最終日の内容をまとめたいと思います。
昨日は、一昨日に引き続き、Gayle による質問法のレクチャーの続きでした。非常に具体的、実践的内容でした。

講義のまとめ。
1,まず、会話を始めるとき。
以下のような意味の質問の例が出されました。(ただし、英語から日本語訳しているので、言葉遣いなどは要検討です)
「何があなたにカウンセラーに話そうとさせましたか?」
「どんなストーリーがあなたをここに運んできましたか?」
「この予約をとったとき、何があなたの心にありましたか?」
「ここに来ることを提案したご両親はどんなことを私たちが話すだろうと思っていたか知っていますか?それはあなたが話したいことですか?」

2,また、専門家に指示をあおぐような姿勢でClがいるとき、どのようにして、その人がその人のエキスパートであるということを伝えるか。
「自分がそれに名前をつけるとしたら、なんと言いますか?」
「そのとき、あなたの心にはどんなものがありましたか?」

3,私たちが知らないことを質問する練習。(知っていることは、「○○と理解していますけれど、あっていますか?」などの質問の仕方。)そのためには、何を自分が知らないか、ということを知っていることが大切。質問の意図はあるけれど、答えは予測できない。

4,外在化の質問の練習。
「何が、○○(焦りなど)を手助けしようとしていると思いますか?」しようとしている、はあえて言っているよう。焦りなどの問題を強めないように言葉遣いに気をつける。
「その仲間は?」
「名前、形、色は?」

5,ポイント
・自分は何も知らないという姿勢。何を知らないのかをわかった上で、知らないことを質問する。
・Local knowledgeを引き出すようにする。
・「問題が問題であり、人が問題なのではない」という姿勢。
・物語を話すことに招待する。
・探索をする言葉遣い(かもしれない、など推測の言葉)をする。
・語るのはClだが、その中からピックアップして取り上げるのはTh。あるいはClと話し合う。ピックアップしたものは1つである必要はなく、複数でもいいし、変化していくもの。
・「そのときあなたはどうしましたか?」「ほかに何かありますか?」という質問はよく使う。全く違う側面に焦点が当たる可能性がある。

私の思ったことのまとめ。
まず、ほかの療法では、ある程度、Clからこういう答えが来るだろう、ここは彼にとって重要だろうという予測をたてて質問をするという戦略をとっていると思うのですが、ナラティヴセラピーでは、予測はつかないという前提(何しろ、セラピストは何も知らないという立場なので)で、ただ、ここはまだ語られていない、私が知らないところだから聞こう、という聴き方なんだな、と思います。
それは、大きな違いです。 見立てというものは、ナラティヴではしないのでしょうか。どういうやり方がそのClに合うかということは考えると思うのですが、見立てをするかどうかについては、まだわからないので、今度誰かに聞いてみたいと思います。
さらに、英語で教えていただいたので、そのまま使えない、というのが、今までのワークショップとの大きな違いでした。そして、意外に、自分たちで具体的な文言は考えなくてはいけないということは、良いふうに働く気がしています。質問の意味やタイプだけ教えてもらい、実際にどういう質問があるかな、と日本語訳にしながら、自分たちで考えていくことは、本当の意味での理解に至る道だと思います。 まだ、私の中の外在化の質問や、ナラティヴの意図を持った質問のバリエーションが少ないので、やすさんに教えてもらったリフティングで練習しながら、質問がすっと出てくるようになりたいと思います。
また、少し戻りますが、 Donaldの二つの島も、もっと日本人に合う形にできないか、という話があって、自分たち用に変えていけるというのは、わくわくすることだなぁと思っています。
毎日の報告の中では、よければ周りの方にとってもワークショップの復習になるよう、講師陣の内容のまとめを中心としてきました。それも今回で終わったので、今度は全体を通して感じた漠然としたものについても、次まとめておきたいです。

明日の振り返りも楽しみです。